「今回は、通常NISAと呼ばれている一般NISAについてです。」
「NISAって聞いた事があるような?」
「はい。以前、NISAが登場した頃に、テレビでもよくやっていたと思います。
NISAつまり一般NISAとは、個人投資家の株式・投資信託等を購入した時の利益に対して、年間一定金額の取引までの税金を非課税にするという免税制度です。
具体的には、年間120万円までの投資に対して、非課税枠が設定され、株式・投資信託等の株式譲渡益や配当等が非課税になります。 」
「大変お得ですね。」
「はい。通常、株式譲渡利益や配当金から2割とられる税金が、非課税になって非常にお得です。またNISAの非課税期間は、5年間になります。
5年の非課税期間を終える時には、終わる前に株などを売却するか、課税口座に保有株などを移すか、翌年の非課税枠に移すか(ロールオーバーと言います)を選ぶ事が出来ます。5年目が終わる時に、翌年の非課税枠に移すと、つまりロールオーバーすると、さらに5年非課税期間が延長されます。」
「非課税期間というものがあるのですね。また非課税期間の延長も出来るのですね。」
「はい。5年の期間を終える時にロールオーバー(延長)する事も出来ます。
またロールオーバーする時に株価が上がるなどして120万円を超えている場合、120万円を超える部分は通常の口座にして、120万円の部分は6年目の非課税対象にする事が出来ます。
ただ、その時は120万の枠を丸々使ってしまうので、6年目はNISAの取引が出来なくなります。
またロールオーバーする金額は60万円分や20万円分といったように選ぶ事も出来ますが、そうした時もNISA取引出来る該当年の金額は、年ごとのNISA枠の120万円からロールオーバーした前年分を引いた額になります。」
「前年分を翌年分に繰り越すと、翌年の非課税取引は120万円から前年の繰り越し分を引いた金額になるのですね・・・
それでも税金が免除されて得には得ですよね。」
「ただ…必ずしも得するわけではなくて、損する場合もあります。
具体的に言うと、50万で取得した株を翌年に持ち越す場合、年をまたぐ時点で株価が下がって、30万などになっていると、翌年は50万で買ったものを30万で取得したものとみなされます。
たとえば、50万で買った株を30万で買ったものとして評価された翌年に非課税期間が過ぎていて、これを40万で損切りして売ったとした場合、取得価額の50万より下がっているのに30万で取得したものを40万で売ったとみなされ、税金を取られることになります(株などの投資は損した時には税金がかかりませんが、利益を得た時には課税されます)。
NISAで無い場合は、何年持っていても取得価額は50万で評価されるので、40万で売った場合、税金は取られません。
つまり非課税から課税対象になった時に…年をまたいでNISA対象の株を保有して、またいだ年の最初には株価が下がっていて、実際の購入額より低い額で株を取得したものとみなされた場合には損をします。
そのように前年からロールオーバーをした年には株価が下がっていて、評価額も下がってしまった場合でも、NISAの非課税期間の期間内にそうした株を売ってしまえばもちろん税金は取られません。
ただ50万で買ったものを40万で売ったりする事になるので、実質的な損失(株式売却損)は生じますが…」
「最後に一般NISAですが、これは実は期間が定められている期間限定の非課税措置の制度で、一般NISAの非課税が適用される取引は2023年が最後になります。ただし2023年に投資購入した株などを保有し続けた場合、2027年までの売却益などは非課税が適用されます。投資は2023年が最後、保有は2027年が最後になります。
また、この一般NISAが終わりに近づいているため、これを引き継ぐものとして並行して2018年1月にスタートしたものが、つみたてNISAというものになります。次回は、つみたてNISAについて説明したいと思います。」
次回は、つみたてNISAです。
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