「今回は仮想通貨の取引について説明します。」
「よろしくお願いします。」
「まず仮想通貨の売買についてですが、仮想通貨の売買は取引所を通して行う個人同士の相対取引が中心になっています。
また取引所が販売者として仮想通貨を売る事もあり、その場合、取引所である仮想通貨取扱い企業は販売所としての働きもします。
仮想通貨を得るには、このように取引所を通して別の投資家と取引して手に入れる方法と、仮想通貨取扱い企業が販売所というかたちで販売者として直接販売するものを購入する方法の2種類があります。」
「何か違いはあるのですか?」
「はい、あります。一つは今説明したように、取引所を利用するユーザーから購入する場合、こちらを取引所といいます。次に取引所でもある仮想通貨取扱い企業が直接販売者となって、そこから仮想通貨を買う場合、こちらを販売所といいます。
取引所の場合は相場取引になるので、値段が折り合わなければ、売買が成立しない場合もあります。販売所の場合は、(購入希望者が欲する通貨の保有者である)仮想通貨取扱い企業が設定した価格で買う事になるため、その値段でも良ければ、ほぼ100%購入出来ます。
そのため取引所を通して他のユーザーから購入する場合に比べて、販売所で購入する価格は、取引所相場よりやや高くなっています。
また仮想通貨の場合、FXの時と同じように各仮想通貨取扱い企業がそれぞれ取引所兼販売所になっています(仮想通貨もFXと同じく、東京証券取引所のような一元化した取引所はありません)。
DMM証券・ビットフライヤー・GMOクリック証券といった仮想通貨を取扱うそれぞれの企業が取引所というかたちになっています。」
「東京証券取引所などがある株式と違って、仮想通貨の場合は1個1個の会社が取引所になっているのですね。こちらもFXと同じように取引所が多くて、取引所ごとの通貨価格のばらつきがありそうですね。」
「そうですね。ばらつきはあります。ただ大きな価格差がある場合、複数の取引所に口座を開設して、安い取引所で通貨を買って、高い取引所に通貨を送金して売るアービトラージという手法で利益を稼ぐ人達もいるため、その過程で取引所同士の価格差は比較的すぐに平均化して解消されます。
また複数の取引所に口座を設置して、それぞれの口座に資金と仮想通貨を準備するというのは、かなりの資金を持った上級者向けの手法です。そうした大口投資家のアービトラージによって各取引所の価格差が平均化されています(アービトラージは、元々はデリバティブの金融手法の一つです)。」
「取引した仮想通貨はどのように管理されているのですか?」
「データである仮想通貨は、ウォレットという仕組みで管理されています。ウォレットは財布という意味ですが、頻繁に取引されるものに関しては、ネット上でアクセス出来るホットウォレットというところに、動かさないでしばらく保管しておく定期預金のような仮想通貨データはコールドウォレットというネットから切り離されたコンピュータなどに保管されています。ホットウォレットがレジの中のお金なら、コールドウォレットは金庫のようなイメージです。
実際のところ、各仮想通貨取扱い企業でも大部分は安全なオフラインのコールドウォレットで管理して、ユーザーの取引量を考慮した一部をホットウォレットで管理運用しています。」
次回は仮想通貨と税です。
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