「今回は、証拠金維持率ということについて説明します。」
「よろしくお願いします。」
「証拠金維持率の話の前に、まず必要証拠金というものから話していきたいと思います。必要証拠金とは今取引している総額に対して、必要な証拠金の額です。
日本のFX会社は、レバレッジ25倍が上限のため、逆算して取引総額の25分の1、つまり取引総額の4%が必要証拠金になります。また取引口座に入れた資金が実質証拠金になります。
ただ現実は、日々の取引により損失が出たり利益が出たりで、取引総額が変動します。そのため必要証拠金の額も日々変動します。
また取引口座に資金を入れて取引をしていない場合は、入れた額がそのまま実質証拠金になります。必要証拠金の方は、取引をしていなければ取引総額はゼロになるので、ゼロを25で割ってもゼロで必要証拠金もゼロになります。」
「取引をしていなければ、口座に入れた金額が実質証拠金で、必要証拠金と取引総額の方はゼロになるのですね。」
「はい、その通りです。そして、取引を開始した時の実質証拠金と必要証拠金の比率が、証拠金維持率になります。
証拠金維持率とは、必要な証拠金に対して、実質証拠金、つまり口座の全額がどれだけ余裕を持っているかという事になります。
また必要証拠金より(口座の額である)実質証拠金が少なくなった時、それ以上の損失を防ぐために、多くの場合FX会社により取引が強制決済(強制終了)されます。では、計算式で表します。
証拠金維持率=実質証拠金/必要証拠金×100
実質証拠金が必要証拠金以上の時、証拠金維持率は100%以上です。実質証拠金が必要証拠金を下回ると、取引総額は実質証拠金の25倍より大きくなり、証拠金維持率は100%未満になります。」
「さらに詳細に話すと、実質証拠金は前日までの確定損益で受け渡し前のものをプラマイ(確定利益なら受け渡しされますが、確定損失の場合、受け渡されず、証拠金から引かれます)して、現時点の評価損益である含み損や含み益をプラマイして計算されます。通貨価格の変動で取引総額も変わるので、必要証拠金の額も日々刻々変わります。それらを具体的に計算すると以下のようになります。」
実質証拠金5万円で、1ドル100円をレバレッジ5倍(25万円分)の2500ドル購入。
この時の必要証拠金は25万を25で割って1万円。
この時、証拠金維持率は、5万を1万で割ると5、パーセントに直すと500%
1ドルが96円になった時、2500ドルは24万円。含み損は1万円。
実質証拠金は5万円から1万円引いて4万。
この時の必要証拠金は24万を25で割って9600円。
この時、証拠金維持率は、4万を9600で割ると約4.2、パーセントに直すと420%
「以上の計算のように、損をしていくと、実質証拠金と必要証拠金の差は少なくなっていきます。これが逆転して、100%や90%などを下回ると、追証といって、追加の証拠金が必要になります。また証拠金維持率は、常に計算され、取引のシステム上で常に表示されます。証拠金維持率は、証拠金が十分かどうか、さらに言えば、維持率の増減も取引の勝敗のバロメーターの一つになりますね。」
次回は、スワップポイントとスプレッドになります。
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